世の中には優れた技術がたくさんあります。それで優れた技術の開発者が、投資してください、と言ってきますが、どんなに画期的な技術であったとしても、技術は技術にすぎず、お金儲けにならなければ意味がありません。なぜに優れた技術がお金儲けになるのか、その技術者の頭の中はお花畑になっています。優れた技術は売れるという保証があるのでしょうか。全くありませんね。
しかも技術開発に何年もかけてしまって、後戻りができないから、ずっとその技術にこだわって投資家を探そうとしています。無駄な時間です。そんなことよりも、その技術がどれだけ多くの人が抱えている深刻な問題を解決するのかを見極めることが大切です。
先ず投資家に対してアピールしなければならないことは、技術ではなくて、社会的に解決しなければならない課題があって、それで困っている人は、ある市場にどれぐらいいて、その課題を解決する方法は当社の技術であって、その技術は他の技術と比較するとどれだけ優れているということを論理的に説明できなければなりません。
そこでまずはどの市場にどれくらい困っている人がいるかを探さなければなりません。そして、その市場が抱える深刻な分野を選んで、どのようにこの技術が問題を解決するかを考えます。さらに、その方法で具体的に市場の困っている人たちに痛みを確実に取り除けるのか、ユーザー候補にヒアリングして聞いてみましょう。その時に考えた商品やサービスが、ユーザーに求められている形に近いかどうかについても確認します。
マーケットが大きければ大きいほどいいというわけではありません。大きすぎれば、アプローチするのが大変です。つまり広告宣伝費が膨大にかかりますし、マーケットが大きいということは多くの競合が参入していますから、価格競争も激しくなります。
こんなことにもあんなことにも使えるという感覚は捨てましょう。これにだけ特化する、という市場を見つけるのです。市場だけでは大雑把なので、その市場をさらに細分化することで、具体的に困っている人たちがどこにいるかを明確にします。
できる限り困っている人に対しては、直接ヒアリングをしてみましょう。多くのヒントが得られますし、その時点での課題がクリアになります。そして相手が困っていることを徹底的に理解し、製品化に結び付けましょう。