投資家の一番の関心事は、自分の投資したお金がいつの時点で、どれくらいになって返ってきそうか、ということだけです。あなたの夢の実現なんて二の次です。それなので、投資家から投資をしてもらいたいのであれば、一にも二にもエグジットを意識し、エグジットからすべてを逆算して、事業計画を立てるべきなのです。
バイオ系、素材系はさておき、ネット系であれば、3~5年でエグジットしなければもう遅いと思って下さい。だからどんなに遅くても5年後には上場を目指して計画を立てましょう。だからボトムアップで計画を立ててはなりません。トップダウンで後はブレイクダウンして数値を組み立てるのです。
5年後の売上が100億円で5億円の利益と想定して、PER25倍、そうすると時価総額が125億円。新興市場に打って出るのであれば、決して悪くはない数字です。5年後に売上100億円で5億円の利益を上げるためには、初年度はどれくらいの売上が必要か、と考えていきます。初年度は12億円としましょうか。そうすると単純に12か月で割れば(もっとも月次も右肩上がりでしょうし、そもそも開発期間は売上自体が上がらない)、月商1億円か、その1億円を商品単価50,000円の商品であれば、月に2,000個を売上げなければなりません。そして2,000個売上げるためには、営業人員が何人必要で広告宣伝費はどれくらいかかるな、とブレイクダウンしていきます。
これをボトムアップ型で考えるとどうなるでしょうか。今月は自分だけしかいないから、20個が限界かなあ~、営業を雇って育てて、半年後、自分と同じくらいの結果を出してくれれば。でも営業を雇う余裕がないしなあ。そんな考えになってしまって、とてもではないですが、5年後上場なんて夢のまた夢です。
何でもいいから自分に負荷をかけなければ、それだけの売上なんてあげようがありません。自分だけじゃ無理だと思ったら、人を雇えばいいですし、今おカネがないのならば資金調達をすればいいだけです。お金はある所にはあるのだから、投資家の門を叩けばいいのです。
さて、そうは言ってもマーケットサイズが100億円しかないところに、参入するとしたら、市場シェア100%を取らないと予想売上に達しません。それどころか、5年後がピークの市場になってしまいます。これでは事業計画書を作成するだけ時間の無駄です。そのため、まず市場規模がどれくらいのマーケットに自分たちは参入しようとしているのか、を調査しなければなりません。そして市場シェア3位以内に5年後達成できるのか。その達成の仕方は何か。この辺を投資家には合理的に説明できなければならないのです。
以下まとめます。まずはエグジットを5年後として、そのときの売上高や利益を想定すると同時に、市場規模を見て、5年後どのくらいの市場シェアを獲得できるかを予想します。その獲得手法に合理性があれば、5年後に向けて、各年度の売上や利益を予想し、それぞれをブレイクダウンして、営業戦略を立てましょう。