価格戦略というのは非常に重要です。これによって顧客の注目度を高めたり、ほんのちょっとした差で儲かったり損をしたりします。
(a) いくらならば勝負可能か
価格戦略は売上と利益に直結します。しかし自社だけでは決められない事情があります。競合相手と差別化が可能か、利益率も考慮した上で、価格戦略を考えなければなりません。価格を下げても、利益が出なければ事業として成立しません。何割も原価を減らせない限りは、価格だけで差別化を図ろうとすると、火傷の元です。
(b) 業界の価格設定
何を根拠として販売価格を決めるのか、業界の価格設定を閲覧するのが一つの方法です。投資家としては、この商品(サービス)と、この事業でどれだけの利益が差せるのか、どのようなビジネスモデルと組み合わせればよいのかが最大の関心事となります。価格しか訴求ポイントのないよくあるビジネスでは、無料で引き付けて、他のところで報酬を取ろうとします。これはキャッシュポジションの変更戦略です。例えば無料で顧客を囲って、広告収入で稼ぐ、プリンター本体やかみそり本体は安くして、替えインク、替え刃で儲ける方法。コピー機はレンタルして、毎月払いとし、保守でカネを取る等があります。
(c) 顧客が購入したいと思う価格帯
スイッチングコストというものがあります。これは既存の商品を使っているものが、他の商品に買い替える際の一種の心理的ハードルです。既存の商品が使い慣れていて愛着があればあるほど、スイッチングコストは高くなります。余程魅力がないと買い替えようとは思いません。
(d) 販売価格の競争力
新規参入者が現れたときに、安売りをしても参入を防ぐという戦略はよくあります。このとき、競合が割引してきたときに、この商品はどこまで対抗可能かも投資家にとってのポイントの一つと言えます。
(e) 販売利益
十分な利益が出るビジネスモデルになっているかが重要です。商品(サービス)によっては薄利多売の場合もありますし、数量が少なくても非常に粗利の高いものもあります。ビジネスモデルとも組み合わせて、投資家に十分に説明できるように準備しておきましょう。
新規参入する場合には、こちらが攻撃側になりますから、守備側もあの手この手であなたの参入を阻止する行動に出ることを肝に銘じておいてください。