ユーザーに対して価値提供がなされていなければ、ユーザーはその商品を選びません。サービスの多くで、実は本当の価値提供がわかっていないことが多いのではないかと思います。サービスしているモノ自体だけであれば、同じモノを扱っているところとの差別化が何かということになります。単純に価格訴求(同じものをより安く)というのもあるかもしれませんが、単純に安くするだけならばマーケットの破壊行為ですね。
一つたとえ話をしましょう。青森県のリンゴ農家がリンゴをネットで販売することにしました。ここで単純に販売するモノはリンゴですから、提供価値は青森県のある農家のリンゴということになります。さて、この購入ユーザーの属性を考えましょう。
メインターゲットは食材の買い物をする主婦、サブターゲットを普通のサラリーマンとしてみましょう。このようなユーザー像をペルソナと言います。
メインターゲット | 属性 | 主婦(30~40代)、既婚・子あり。所得は平均的 |
情緒 | スーパーに買い物に行く | |
サブターゲット | 属性 | ビジネスマン・未婚・所得はそこそこ |
情緒 | 実家でよく食べていた |
主婦はそもそもスーパーに買い物に行くわけですから、安定的にリンゴを買ってくれるかというと非常に怪しい限りです。家族がリンゴが好きだった場合、箱買いのときは、重いから宅配してもらうというのであれば、購入動機があるかもしれません。ビジネスマンの場合には、外食がほとんどですし、そもそもスーパーに行く暇もありませんから、ネットで購入することには理由がありそうです。
つまり彼ら彼女らは提供価値を「青森県のリンゴ」だけだと考えていないことがポイントです。それも提供価値の内の一つというだけにすぎません。メインはまとめ買いができる。サブは欲しいときに家に届いている、そういった提供価値を求めていると言えるのではないでしょうか。
そこで本サイトの提供価値を「青森県のリンゴ」のほかに、「まとめ買い」(割引)、配送も日時指定対応(むしろ宅配業者)にすることができることになります。
実はこのような他の提供価値に気づかずに、うちは「青森県のリンゴ」を扱っているとして、そこの提供価値にしか気づかないことがあります。往々にして、直接提供する商品やサービス以外の提供価値がわからず、その商品の低価格路線に走っていてはもったいないの一言です。別の提供価値についても気づくようにしてみましょう。ビジネスのブレイクスルーが起きるのではないでしょうか。