投資家としては現在開発中の商品(サービス)が不要になるようなリスクがないかは気になるが、それを起業家の方から言うわけはない。しかしそのようなリスクがある根拠を持ってないとか、合理的なエビデンスを投資家に提示できたときには、投資家に対する安心感を増すことになります。
現在開発中の商品(サービス)が不要になるような状況は、パラダイムシフトがあったときに、生じる可能性があります。いずれにしても投資家から投資を受けられても、その後でその商品(サービス)が売れなくなったら終わりですから、起業家の方でも真剣にパラダイムシフトの可能性を探っておいた方が良いでしょう。パラダイムシフトの具体例を挙げてみましょう。
(a) スマートフォンの登場
固定電話から、コードレス電話機、テレビ電話、携帯電話と時代と共に変化し、スマートフォンの登場によって電話という常識は完全に変わりました。従来の電話機は音声通話でしたが、スマートフォンは音声通話機能はありますが、アプリをダウンロードして利用者が必要な機能を付加できます。ソーシャルメディアを使ったコミュニケーションに代表され、もはや音声通話がいらないくらいのツールになってしまいました。
(b) 所有から共有へ
今までは「より多くのものを所有することが豊かな生活の象徴である」という価値観もありましたが、インターネットの発展とスマートフォンの普及によって、必要なものを必要なときに利用する消費スタイル「シェアリングエコノミー」が浸透してきています。AirbnbやUberはその一つの現れです。
パラダイムシフトに対応するには、①変化をキャッチする敏感さ、②物事にこだわりすぎない柔軟性、③自分なりの問題意識と持つことが必要と思われます。
なぜこれが売れているのか、という疑問を自分なりに考えてみるのです。そうしますと既に存在する物事や価値観に疑問が生じ、新しい視点で物事を見ることができるようになります。そうする中で、新しいアイデアも出てくるようになります。