ストックオプションの発行は、経営者や付与された役員やスタッフだけでなく、投資家にとっても関心事です。といいますのはストックオプションは潜在株であって、それが多いほど、投資家の持分は希薄化することになるからです。
日本の場合には上場前に顕在株の5~10%以内に抑えて下さい。あるいは上場前に顕在化させてください(現金を入れて普通株にすること)と言われていますが、アメリカでは全体の株の15~20%もストックオプションに割り当てられることが決して少なくありません。前述したように投資家から見ると投資をして得られる比率が下がることになるので、多すぎると問題視されます。この辺は専門家と相談の上に、会社設立時に大枠を決めておいた方がいいでしょう。役員やスタッフ、その他関係者が十分なモチベーションを持てるようにストックオプションを確保することが大切です。
事業計画書に付随して資本政策も添付することになりますが、そこには顕在株の他ストックオプションの発行数も記載することになります。予めストックオプションの予算を決めておきましょう。ストックオプションの株価(付与時の株価)はエグジットの確率が高くなればなるほど上がっていきます。逆に言えば、リスクの高い会社設立直後に入社したスタッフの株価は安くなり、マイルストーンが達成されたり、会社が投資を受けたりした後では次第に高くなっていきます。
ストックオプションは、入社時点で付与される「株数×株価」が給与の一部として計算されます。ストックオプションは、社員に株を購入する資格として付与されます。このオプション価格は税制とも関連していますので、専門家のアドバイスを受ける必要があります。
ある程度ストックオプションの枠を予算化しておき、役職が高ければ高いほど、付与する株数は高くなります。在籍期間が長ければ長いほど付与株数も増えていくため、元から予算化しておかないと、たちまち上場審査上問題になってしまいます。
例えば、最初の1年間会社に在籍することで元の25%のストックオプションの株を買い取る権利が発生し、それ以降毎月在席することで1/48だけ買い取る権利が増え、4年間在籍すれば全部のストックオプションを得られるという方法があります。これは権利が発生するだけなので、実際にストックオプションの株を買い取るか、そして行使するかというのは本人の意向次第です。このようなシステムでスタッフにストックオプションを付与するとプールしてある株数が不足するため、予め副社長にはいくら、他の役員クラスにはいくら、と予算を作っておいた方が良いのです。