自社を取り巻く外部環境を分析するために「PEST分析」というものがあります。これは、経営学者のフィリップ・コトラーが提唱しているマーケティングにおけるビジネスフレームワークの1つであり、自社で管理できないマクロ環境を分析して、自社が環境からどのような影響を受けるのかを把握、予測するためのツールです。
PESTとは以下の頭文字をとっています。
P:Politics(政治)
E:Economy(経済)
S:Society(社会)
T:Technology(技術)
マクロ環境を分析すると、自社にとって脅威となる要因や、追い風となる要因をいち早く予測できます。それでは4つの項目の分析をそれぞれ見てみましょう。
- Politics(政治)
ここでは、政治的環境や法律の面から分析を行います。法律や税制等の変化から、どのように自社に影響があるかを考えましょう。例えば、食品業界において、2015年に機能性表示食品制度が解禁され、規制緩和が行われました。事前届出のみでの表示が可能となり、規制緩和に早めに対応した企業が売上を大幅に伸ばしました。政治や法律の変化が勢力図を大きく変化させるタイミングになります。
- Economy(経済)
ここでは、経済面から環境分析を行います。例えば、個人消費行動を分析し、把握することで、自社が打ち出す商品やサービスの方向性を見極めることでビジネスチャンスを見つけることが可能になります。
- Society(社会)
ここでは、個人のライフスタイルの変化などを分析します。近年の日本では、超少子高齢化現象が社会問題としてよく取り上げられるため、高齢者を対象とした市場の拡大が考えられます。
- Technology(技術)
ここでは、日々進歩を遂げる技術面からの分析を行います。技術の発達は小さな市場の変化だけでなく、大きな市場の変化をもたらすことがあります。直近の例では、ガラパゴス形態が中心だった携帯電話業界でスマホが当たり前になり、それに付随するイヤホンや周辺アクセサリーという新規市場が拡大しました。日本は今後どうなるかはさておき、今までは高い技術力を持っている企業が多かったため、その進化に注目すれば、大きなビジネスチャンスがありました。
PESTの各要因はマクロ環境であるため、自社のみの企業努力ではかえられません。とはいえ、PESTの各要因は自社のブランディングやマーケティングなどの戦略を検討する際に不可欠と言えます。